2020年03月31日

繁忙期を終えて


3月31日です。
これは建設コンサルタント業界においては大晦日みたいなもんです。
コロナ関係で工期の延期やら打合せ、検査の省略などいくつかの
業務では影響があり、今年度末は例年とは多少様相が違いましたが、
まあ、忙しいことは忙しい。
まあ、それでも明けない夜はない、ということで今日で繁忙期も
終わります。みなさん明日から休暇かな。

私はというと、コロナ関係で工期が延期された業務の対応が
多少残っているのと、生物調査は近年、越年度業務が多くなって、
年度末にそれほど忙しくなくなった反面、春にまあまあ忙しい、
というような感じになってます。
そのため、数日は休むとしても大型休暇はしばらく望めないかな。
雪がないので春スキーにも行けず、
そんなに休みたいわけでもないのでまあいいか。

さて、平成31年度もしくは令和元年度が今日で終わるわけですが、
この年度を振り返ってみると、ハイライトは中部地方の亜高山帯
での生物調査でした。

区間F芳ヶ平、シラビソ林.JPG

区間F芳ヶ平、国道292から芳ヶ平.JPG

区間F芳ヶ平、池溏4.JPG

シラビソ群落だとかササ草原だとか池塘だとか
普段我々があまり接することのない高い山での調査が
ありました。普段は自然環境調査といっても基本的に
人の生活の場の近くですからね。

植物、鳥、両生類・爬虫類・哺乳類、昆虫など各生物項目の
専門調査員がそろってグループを構成して調査に臨みました。
調査の延長距離は20km以上あったのですが、
途中に下山ルートがあり、なんとかキャンプや山小屋泊はなく、
毎日、車でできるだけ高いところまで行って、
それからは登山道を上下、あるいは尾根沿いを縦走。
短い人で3日間、私も含め長い日とは6日連続。
標高2,000mを超えると多少空気も薄くなるのか
なかなか厳しかった。
それでも景色がいいし、普段目にすることのない生き物が
多いので、個人的には楽しかった。

無人島とか高山とかの調査は毎年あるわけではないですが、
たまにあるのでおもしろい。また機会があればチャレンジしたい。
そのときに登山したりキャンプしたりする体力気力があるかどうか。

それでは令和元年度もお世話になりました。
令和2年度もよろしくお願いします。





posted by Kankyosekkei Co., Ltd. at 12:59| 生物調査 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月10日

クマタカカメラ 2020 産卵


世間はころなころなと騒がしいですが、みなさまご無事でしょうか。
とはいえ、3月も中旬にさしかかり暖かくなりつつあります。
暖かくなったら落ち着きませんかね。
こういう時は現場続きなら感染症にかかるリスクも少ないのでしょうが、
繁忙期なので内業のため会社にいることが多く、通勤電車などが気になります。
まあ、環境設計はもともとフレックスの上、昨今はスーパーフレックス導入にて
混んでいる時間帯は避けてますけどね。
ただ、混雑自体も減っているような・・・。

そんなこんなでちかごろ暗いニュースが多いですが、
個人的にはうれしい出来事もありました。

昨年繁殖した人工巣のクマタカですが、今年も産卵しました。

IMAG0525.jpg

3月4日の夕方のことです。
画像では卵も見えます。
産卵直後の画像のようです。
これまでは抱卵姿勢によって産卵したかな、と想像しつつ、
次の日やそのまた次の日ぐらいに抱卵交代する際などに卵が見えた、
といった具合でしたが、今回は産卵直後を捉えられたようです。
それにしても産卵はいつも夕方ですね。調整できるようです。

昨年と比較すると2日遅れです。
活発に造巣活動はしていたのですが、
造巣活動の始まりが1月末と、昨年から比べれば、
1ヶ月半以上遅れていたことや、造巣活動は主に雄が
行っていたこと(昨年は主に雌)、などなどから、
今年はダメかな、やっぱりクマタカの連続繁殖は難しいかな、
と思い始めたところでした。

抱卵交代も頻繁にやっているみたいですし、抱卵交代から
帰ってきた雌のそのうがふくらんでいることが多い
(餌を食べてきたということ)ので、今のところまあ順調かな。

ただ、抱卵交代が多すぎるような、雄の抱卵時間が長すぎるような
気もしています。抱卵初期は落ち着かないのか、あるいは私が
心配しすぎなのか。

いずれにせよ、見守るしかありません。

まあ、楽しみが増えました。

今年もまたそのうち経過を報告します。



posted by Kankyosekkei Co., Ltd. at 12:33| 生物調査 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月18日

クマタカカメラ2019 まとめ


なんだか冬らしくない冬が続き、わけのわからない病気もはやりだして、
いろいろと気持ちの悪い今日この頃です。
とはいいながら、我々にとっては繁忙期。仕事はやらねばならんのです。

さて、昨年はクマタカさんに人工巣を提供し、そこでクマタカさんが
繁殖してくれました。巣に向けてカメラを設置していたため、繁殖状況を
詳細に把握することもできました。いずれどこかで発表しようかと思って
おりますが、簡単に状況をここで整理しておきます。
非常にマニアックな内容です。

【繁殖の進行】
・12/24 人工巣へ初飛来
・12/25 初巣材搬入
・3/2夕方 産卵
・4/19朝 孵化(抱卵日数49日)
・7/1 巣立ち(夜間に巣を開けていたことで判定、巣内育雛日数73日)
・9/10 巣への餌の最終搬入
・1/28 幼鳥飛来(ここまで生存を確認)

【巣への餌搬入状況】
・求愛・造巣期の搬入:1回
・抱卵期の搬入:1回(孵化前日)
・巣内育雛期の搬入:116回(搬入頻度=約1.6回/日)
・巣外育雛期の搬入:42回

10日ごとの搬入回数の推移を表すと以下のグラフのようになります。

餌搬入頻度.jpg

雛が大きくなるに従って必要量が増して、搬入回数が
多くなっているようにも見えますが、もしそうなら理想的に
餌が捕獲できていた、ということでしょうか。
また、巣立ち後も巣に餌の搬入が続き、雛は餌を巣で食べてますが、
次第に受け渡しのみが行われるようになったり、巣への搬入頻度が
低下していっています。

【餌の種類】
・哺乳類 4科9種
・鳥類 6科9種
・爬虫類 2科4種

これ以外に不明のものもあり、実際にはさらに多くの種を搬入
しているかもしれません。クマタカはいろんな種類の餌に依存
していることがわかります。餌の種類とそれぞれの搬入回数は
以下のとおりです。

餌種類.jpg

モグラがすごく多いように思いますが、確かな種類ではネズミは
含まれていません。地面の中にいるモグラをどうやって捕るんでしょうね。
夜行性のムササビだとかモモンガ、アオバズクなんかも不思議です。
あと、ヘビではシマヘビとアオダイショウが多いのですが、
同じく山の中には相当数生息するはずのマムシやヤマカガシは
搬入されていません。これは他事例でも同様で、
クマタカは毒蛇を見分けているのでしょうか。人間はヤマカガシを
毒蛇と認識したのはここ数十年のはずですが、クマタカはもっと前から
知っていたんでしょうか。
こういった調査をすると、クマタカの生態についていろいろと
解明される部分も多々あるのですが、同時に謎も深まります。
いずれにせよ、クマタカは既往の文献では山の中の動物を捕れるものは
何でもとる、と表現されているものがありますが、実際には明らかに
ねらって餌を捕っているようです。ヘビの種類もそうですが、
同じ餌の搬入が何回も続くことがよくあります。時期的に捕りやすい、
というよりも1回捕れると味を占めて、同じ餌をねらっているような感じです。

餌の搬入回数を分類群ごとにグラフ化すると以下のようになります。

分類群別搬入回数(巣内育雛期).jpg

分類群別搬入回数(巣外育雛期).jpg


巣内育雛期は哺乳類が最多で爬虫類(主にヘビ)が続きますが、
巣外育雛期には爬虫類が最多で鳥類がこれに続いて哺乳類が
最も少なくなってます。
分類群別の搬入回数の推移は以下のとおり。

分類群・時期別餌搬入回数.jpg

鳥類の繁殖期には抱卵中の巣や雛をねらいやすそうなので、5月ぐらいに
増えるのはわかるのですが、いったん減ってまた7月下旬から増える理由が
わかりません。また、爬虫類は梅雨の時期に増えそうなものですが、
6月下旬から7月上旬は少なくなってます。

【餌重量比】
餌の種類や搬入回数だけ見ても、餌には大小があるので何が主要な餌と
なっているか見えてきません。そこで、餌の重量を推定してみることに
しました。これまでも巣に搬入された餌の重量を分析された事例は
あるのですが、いずれも計測されている成体の重量を当てはめて全搬入重量
を計算されています。これはこれで一つの目安となるかもしれませんが、
実際には哺乳類など成体が搬入されることの方が少なく、幼獣とでは
ものすごい重量の違いが生じます。
例を挙げると、今回はイノシシの幼獣が搬入されています。イノシシの成獣は
大きければ100kgを超えますが、これをカウントすればこれだけでおそらく
クマタカはおろかイヌワシの搬入餌重量を超えてしまいます。
今回の場合は成体と判定できる餌の大きさを目安に、これと同じ大きさの
個体は種類が違っても同じ重さと推定しました。例えば、リスの成体は
文献資料から250gとして、これと同様の大きさのイタチの幼獣も250gと
判定しました。このやり方だと、今回搬入されたイノシシの幼獣は
1kg程度でした。
まあ、正確性には欠けますが、成体重量をそのまま適用するよりは
マシではないか、と思います。また、実際には餌すべてを雛が食べる
わけではなく、親鳥が食べたり、過剰に搬入された場合には捨てられたり
することもあるので、残念ながらどうやっても育雛に必要な餌の量、
というのを算出するのは無理なような気がします。
とはいえ、こうしたやり方である程度、クマタカの雛が主に食べている
餌の種類、というものはわかると思います。
結果としては以下のとおり。

・巣内育雛期搬入重量:33.4kg
・巣外育雛期搬入重量:10.5kg
・全期間:43.9kg

クマタカの体重が2〜3.5kg程度ですから、すごく多くの餌を
捕ってくることがわかります。
分類群ごとの重量比は以下のとおりです。

餌重量比(巣内育雛期).jpg

餌重量比(巣外育雛期).jpg

餌重量比(全期間).jpg

重量比で見ると、さらに爬虫類(主にヘビ)の比率が巣内育雛期、
巣外育雛期ともに高まります。種別でいうと、シマヘビとかアオダイショウが
すごく重要な餌といえそうです。

もう少し細かい分析も試みたりしておりますが、今回はここまでとします。
いやあ、大変な作業でした。
今後は、一つの事例でクマタカ全体を語るのは危険なので、
他事例や私の他の結果と比較したり、私自身ももっとサンプル数を
増やしていこうと思っています。
幸い、人工巣のクマタカのつがいは、1月下旬から巣材運びに頻繁に巣に
飛来するようになっており、同じ巣で連続繁殖するかもしれません。
そうすると年によっての違いなんてことも見えてくるんですけどね。

IMAG0297.jpg

本日(2/18)の飛来画像です。
人工巣を提供したことで造巣作業の負担が減って、連続で繁殖する、
なんてことが言えればいいんですけどね。





posted by Kankyosekkei Co., Ltd. at 14:35| 生物調査 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする