2017年06月25日

クマタカさん受難の日


梅雨ですね。
今年は梅雨がないかと思ったが、やっぱり降るときは降りますね。
猛禽類にとっては繁殖期も最終盤。
無事巣立ちを迎えられるかどうか、という時期で、
あまり雨が続くのも困ります。

さて、最近、本ブログも設計がらみのネタが増えまして、
あれ? と思われた方も多かろうと思いますが、
環境「設計」なのに、猛禽類ネタばかりではないか、
という苦情があったり、なかったりしたので、少し控えてました。
ただ、3回ばかり設計ネタが続いたので、
調査ネタ、猛禽類ネタもたまには良かろう。
久しぶりなのでちょっと長いです。

先週、とあるクマタカのつがいの繁殖状況をのぞいてきました。
会社の仕事からは離れた、研究としてやっていることですが、
仕事にも関係するといえば関係するのでご紹介します。

DSCN3845.MOV_20170617_225230.373.jpg

わかりますかね。
画像の真ん中少し右側に巣があって、巣の端、画面ほぼ中央に雛が右向きでいます。
この日は午前中に3回親鳥の飛来があって、餌運びや給餌も行われています。
餌の種類まではわからず。

ロングレンジの観察だとこんなところ。
クマタカの場合、巣が外部から見えることの方が少ない。

この日は同時にいろいろなことをやってまして、続いて林内からの固定ビデオ映像。

DSC01762.JPG

こちらが巣です。解像度を落とさなければこれぐらい鮮明ですが、
諸事情により以下の画像はかなり圧縮しています。

DSC01664.JPG

つづいて雛。60日齢強。

DSC01679.JPG

雄による餌運び。この段階では餌種別わからず。

DSC01718.JPG

雌がやってきて雛に給餌するためぶら下げたことで、鳥の雛、というところまでわかる。

DSC01733.JPG

続いて雄がもう一度餌運び。けっこう大きいということはわかるが種類までは識別できず。
このくだり、動画でもどうぞ。
音声もお楽しみください。



重いから「ドカーン」という感じで運び込んでますね。
それにしても、雌も雛も、思い切り鳴いてます。
どうみても「お父ちゃん、ありがとう」、という感じではない。
早くどっかいけ、とか、もういっぺんとってこい、とか、
もっといいもんもってこい、といった感じのように聞こえます。
苦労して餌を持ってきたにもかかわらず、まったく感謝されている感じではない。
世の中のお父ちゃん共通の悲哀ですね。

さらに、昼からは営巣木を登りました。
ことわっておきますが、研究目的でやっていることで、許可を得て、
それなりのノウハウからいろいろな配慮を講じた上での行為ですので、
むやみに真似しないようにお願いします。

P6170023.JPG

登っていくと、お子様から歓迎を受けます。

P6170006.JPG

巣の様子。
お子様は一時的に隔離してます。

P6170009.JPG

巣にはアナグマの幼獣。
先ほど運搬されたのはこれだったようです。
裏側はけっこう食べられていてグロいので食べられていない方だけお見せします。
そのほか、巣には獣毛やらカラスの羽根がたくさんありました。
ヘビの鱗は案外少ない。

さらに、せっかく育雛中の巣に登ったので、監視カメラを設置してきました。
これまでにもご紹介してきた画像送信型のカメラです。

1706171649.jpg

アナグマを計測しようとしているところ。

1706181906.jpg

翌日、雌が飛来して雛に給餌しているところ。

私の場合、育雛中の巣に何度も登ってますが、その後の雛や親鳥の様子は、
十分観察したことが今までありません。
今回、カメラを設置してきたことでそうしたことがわかるようになりました。
お子様を解放した次の日の午前中には雌が飛来して、アナグマ幼獣を給餌など。
餌運びもありました。
どうやら親鳥が巣を忌避するといった極端な影響を与えることはなかったようです。
育雛活動が無事継続されています。

1706211901.jpg

ただ、この映像のように、もう巣立ち間近というのに、夜になると雌が雛を抱いています。
毎日ではなく、巣に登った翌日や雨の日にこのような状況を確認しています。
これまでも巣にカメラを設置したことが何度かありますが、
いずれも夜間は撮影していなかったので、
この日齢まで抱雛することが一般的かどうかわかりません。
巣に登った翌日は雌が巣に滞在している時間がかなり長かったようですし、
巣材を運び込むことも多かったことから(おそらく遮蔽のため)、
巣に登ったことで過度に警戒させてしまっているのかもしれません。

まあしかし、こういうことはやってみないとわかりません。

今回、いろいろな調査結果による成果をご紹介しましたが、
調査手法が違えば得られる成果にも違いがあって、
いずれも「これをやれば生態がわかる」といったものはありません。
逆にいえば、こんな手法は意味がない、とか、やってはいけない、
などと否定されるものではなく、
生態把握だの、保全だの、保護だの
目的に応じていろいろな手法を取り入れていくべきかと思います。

ただ、それぞれの手法の効果とリスクはできるだけ正確に把握しておく、
ということは私自身肝に銘じています。

最後にもう少し画像紹介。

1706250716.jpg

鳥の雛が置いてあります。種類は何だろう。

1706241254.jpg

雛の足の下にシマヘビ。

1706251555.jpg

雌の右足の下に何かがありますが、種類まではわからず。
細いヘビみたいなのもあるみたい。
ヒメネズミとかかな。

1706251425.jpg

1706210959.jpg

雛はもう巣立ち間近で飛んだりはねたりしている様子。

1706231639.jpg

巣からいなくなっていることもしばしば。
近くの枝に移動しているんでしょう。

ここの雛は非常に早い時期に巣立ちを迎えそうです。
一般的には7月になってから巣立つのですが、もう巣立ちといった感じ。
今日などは巣に現れない時間帯が長いのでひょっとすると、
隣の木ぐらいに移っているかもしれません。
このカメラで雛を捉えることができるのは、もう何日もないかもしれませんが、
少しの間、楽しませてもらいましょう。
また何かあればご紹介します。



posted by Kankyosekkei Co., Ltd. at 19:35| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする