2018年12月26日

クマタカカメラ 2019


クリスマスも終わって年の暮れ一直線、という感じですね。
昨年はこの時期インフルエンザにかかって年明けまで小学生並みに大連休、
という感じでしたが、今年は元気です。

さて、一昨年からやっているクマタカカメラ。
−クマタカの営巣地にセンサーカメラを設置し、繁殖画像を送信させるというシステム−
来年もやります。
というか、クマタカの繁殖期はもう始まっているので、
早くやらねばということで、継続箇所の電池交換等のメンテナンス、
新規箇所の設置は既に終わってます。
今年は継続1カ所と新規3カ所の合計4カ所あるので、どれか当たるでしょう。
今から楽しみにしています。

このうち1カ所は既に頻繁な巣材運びが始まっています。

IMAG41301.jpg

今からそんなに活発になって、産卵時期までエネルギー持つ?
という感じ。
たぶん、冬型になって刺激され、繁殖活動が一時的に盛り上がっているんだろうと思います。
そのうち落ち着いて、また活発になってを繰り返すんでしょう。

さらに、今回は新しいこともひとつ始めました。
今年は西日本を強い台風が通過しました。
その結果だろうと思うのですが、クマタカの巣の多くが落ちてしまいました。
落ちたら落ちたで勝手に巣を新たに架けるでしょうし、
繁殖できなくなる、というものでもないのですが、
クマタカの巣はかなり大きなものなので、巣を架けるという作業にも
大きなエネルギーを費やすはずです。
これを助けてやれば少しはクマタカも繁殖しやすくなるのでは、という感じです。
落ちた巣の代わりに人の手でクマタカの巣を整えてやろう、との計画です。
絶滅危惧種であるクマタカ保護策の一つの試みです。

といっても、クマタカの場合にはそれほど営巣環境に苦労している、
という種でもないので、どちらかというとこちらの都合で、
人工巣のノウハウ、実績を得る、ということが目的です。

近年は道路やダム事業などの代償策として、猛禽類の営巣地を影響範囲外に
誘導するため、人工代替巣を設置することがよく行われるようになってきました。
特に道路事業において、オオタカを対象にした事例が多数あります。
個人的には人工巣という対策については、環境改変の影響緩和には
まったく寄与しないので、どんなもんだろう、と思うところ多々ありますが、
工事中影響からの緊急避難策として、あるいは、本当に営巣環境喪失というような、
一定の条件下では有効な方法なんでしょう。

ただし、クマタカの場合にはあまりうまくいっているわけでもないようです。
それなりに人工巣を設置した事例はあり、そのうち何割かはクマタカ自体、
飛来してきてことはあるようですが、産卵、育雛、巣立ちまで到達した事例は
ごくわずかなようです。
公共事業の場合、うまくいけば宣伝されますが、失敗に終わった場合には
公表されないことが多いので、失敗事例は私が知っているよりも
多いんだろうと思います。
おそらく、クマタカの人工巣が成功する確率は現在のところ、
非常に低く、この確率からすると「当てにしていい」保全策とは言い難い、
というのが現状かと思います。

当社としては、クマタカについて、好適環境の抽出から候補木の選定、
人工巣の設置まで一通り手がけた経験があり、
繁殖させた事例もあるのですが(未公表)、
多少は他事例を参考としながら、大部分は経験からくるカンでもって、
「クマタカさんこんな感じでどうでしょう」、
とおそるおそるやってみただけで、まあ正直なところ、
手法を確立したとは言えません。

そんなわけで、前置きが長くなりましたが、今回、クマタカの人工代替巣を設置、
そこにセンサーカメラも設置して利用状況であるとか、繁殖状況を見守ろう、
というプロジェクトを開始しました。

対象のつがいは、昨年繁殖して、今年は繁殖しなかったであろう、というもの。
台風通過後に営巣地を見に行ったところ、昨年使用した巣は見事に落ちてました。
元の営巣地はスギ植林の林縁にあるスギにありました。
今回、落ちた巣の代わりに、ということで人工的な巣を提供しようというもので、
同じ木、同じ枝だとおもしろくもないので、別の木にしましたが、
元の巣から他の場所に誘導したい、という理由もないので、
元の営巣木から数十メートルの似たような環境にあるスギに人工巣を架けました。

PA210001.JPG

こちら架ける前の木。
なんでこの木にしたかは単なるカン。

PC130005.JPG

こちら架ける前の枝。
90度ぐらい開いた2本の枝に設置しました。
普通、猛禽類は3本の枝に巣を架けますが、クマタカの場合は2本の場合もあるようです。
ただ、その場合ももう少し枝の角度が狭いことが多いようです。
自然の枝でそう都合の良い枝を探すことは難しいので、
そこは人が手を貸す、ということで今回のようなクマタカにすれば
巣を架けることが難しそうな枝であっても巣を架けてしまいます。

PC160021.JPG

こちら途中経過。
残念ながら巣の構造は秘密です。

PC160033.JPG

こちらは最終形状。
どんなもんでしょう。
一見するとクマタカの巣のように見えます。
以前、やった時には巣材をあまり積み込まず、もっと基礎構造に近い、
骨組み以外のレイアウトはクマタカの好きなようにしていただこう、というようなものにしました。
まあ言うならば、建築用語でいうところのスケルトンインフィル住宅(試験のため覚えた用語)
を提供した、というところです。
それでクマタカさんには気に入っていただけたのですが、
今回、それと同じだと知見の収集にならないので、
クマタカの巣にわりと近い形状を模してみました。
とはいえ、下が透けるような状態で、繁殖中のクマタカの巣に比べると、
まだまだ巣材の積み込み不足です。
まあ、後はクマタカさんにお任せしましょう。

それで、この巣が完成したのが12月16日のことです。
本当はもっと早くやりたいところではあったのですが、
それまでちょっと忙しくて遅くなってしまいました。
この時期からクマタカに警戒されず、使うようになるかな、
と思うところもあったのですが、

IMAG00611.jpg

12月24日には早くも飛来あり。
このときは1回限りだったので、「あれー、何これ?」といった感じの興味本位、
もしくは、「なんじゃこりゃあ、誰がいったい?」といったように、おそるおそる、
だったのかもしれません。

ただし、

IMAG00651.jpg

翌25日には巣材運びも確認しています。
新居は気に入っていただけたかな。
それとも他の多くの事例のように、最初だけに終わるのか。

今後、いろいろ楽しみです。



posted by Kankyosekkei Co., Ltd. at 22:13| 生物調査 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする